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名探偵はもういない

先日読んだ「アイルランドの薔薇」に続いてクローズド・サークルもの。犯罪学者・木岬研吾は、雪の降る栃木県の山道に車を走らせる。同行する小学生の義弟に理由を告げることもなく。やがて、雪に道を閉ざされた二人は近くのペンションに宿を取るが、そこには奇妙で怪しげな人々が滞在していた。

霧舎巧による長編。中盤で謎となっているポイントが一通り整理された上で、「読者への挑戦」が差し挟まれる、親切な、正統派らしいミステリー。

以前「霧舎巧 傑作短編集」で見たような人間ドラマがやはり本作にも織り込まれていて、本筋となる事件のほかに「なぜ彼はあんな行動をとったのか」という点でも謎の解明が味わえます。「後動」という名前の人物が登場するなど、作家のファンには他の作品とのつながりを見つける楽しみもあります。

霧舎さんの作品はいつも探偵役過剰ですね。後半など、登場人物の過半数が謎の解明に当たる側に回っているのではないでしょうか。

しかし、巻末解説の石崎幸二。その昔、デビュー作と第二作を読んだときに、上滑りする文体に少し眉をひそめたことがあったのですが、今回の解説はちょっとなあ。口述した内容をそのまま書きとって読む文章にするための校正をしなかったかのような読みづらさ。解説の内容も「……」としか。

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