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2009-05

まつのべっ!

ずっと買おう買おうと思って買っていなかった作品、koabeさんの感想に後押しされたこともあって、先日のジュンク堂で平積みされていたのを購入してきました。

新米幼稚園教諭・松延彩人がこの職を志したのは、小さい頃に一緒に遊んだ、気が強くて彩人を振り回してばかりの幼なじみ・大園皇香の一言がきっかけだった。
急な引っ越しでいなくなってしまった皇香のことを時折考える一方、彩人のクラスには、当時の皇香にうりふたつの幼稚園児・瀬能千景がおり、当時の皇香とおんなじように、彩人のことを「まつのべっ!」と呼んでくる。混乱する彩人の前にはさらに、テレビで「今売り出し中の新人女優」として大園皇香が登場する。
当時の大園皇香との思い出、今目の前にいる園児の千景、さらにテレビの向こうに現れる現在の大園皇香に思いを馳せる彩人に、それを取り巻く幼稚園の同僚先生・園児の保護者たち・大園皇香の関係者たちが複雑に関係する、という内容の、4コマギャグマンガです。

この、「4コマギャグマンガ」というのが一番すごいところで、これだけの内容を含みつつ、ほぼすべての4コマにきちんとオチを付けているのが、まず特筆すべきところです。

私は本作を最初の1~2年ほど、この単行本でいえば1巻の前半くらいまで連載で追っかけていました。追っかけるといっても、冒頭で述べたような初期設定を毎回繰り返す展開で、当時読んでいた私は「この先、松延と大園皇香が出会ったりとか、そういう展開はないままずっと続いていくんだろうなあ」とぼんやりと思っていたものです。

2008年に「ついに最終回!」と聞いて、その回だけ(しかも立ち読みで)読んでみたのですが、なんと事態は急展開を見せていたことか。あまりのことに本屋で呆然としてしまいました。

その後、ついに単行本を読むに至ったわけですが、ここにきて再度驚愕しました。私が連載で読んでいた頃から、最終回に向けての布石は着実に打たれていたのです。

1巻終盤から2巻にかけての展開は、ギャグマンガとしてのご都合主義と、ストーリーマンガの緻密さとが組み合わさって、息も切らせぬものとなっていました。とくに、最後にいろいろな種明かし(のようなもの)が行われるに至って、その思いはいっそう強くなります。ネタバレはたとえ背景同色でも書きたくないので語りませんが、作者は自分の絵柄までをも、ミスリーディングの材料として見事に活用したなと感服せざるを得ません。

この連載が開始された当初の1998年といえば、今のきらら系につながるようなムーブメントはその片鱗も見せておらず、4コマ誌におけるストーリー性を持った4コママンガといえば、わずかに小池田マヤがその役を担っていたような状況であったかと思います。その中で、ほぼ孤軍奮闘と言っていい状況で、最初は他の4コマと同様な無限ループ系の作品と思わせておきながらその間に周到に伏線を張り巡らせ、後半で一気に話を大きく展開させる。その間、前述の萌え4コマの興隆やストーリー4コマ作品の増加という流れに支えられるところもあったとはいえ、これだけの作品を長期にわたってぶれることなく描ききったことは、それだけで特筆に値することでしょう。

作者のデビュー作であり代表作でもある「はるなちゃん参上!」すら数年に渡って単行本が発売されない中、本作品が無事単行本化されたことは慶賀の至りです。20世紀末から21世紀初頭におけるストーリー4コマの代表作として、ずっと愛されていってほしい作品だと思います。

ちなみに、作者はあとがきで「幼稚園教諭とアイドル、どっちを男でどっちを女にするか迷った」というようなことをおっしゃっています。逆パターンだったらきっといろいろなところが、もしかしたらストーリーの根幹も異なっていたはずで、そうなっていたらと夢想するのも楽しくなります。常々ジャニーズ好きを公言している作者のことですから(作中の同僚先生の描写にそれが現れているかと)、きっと「濃い」作品ができあがったのではないでしょうか。

笹の葉ラプソディと「スキップ」

話題の涼宮ハルヒのアニメの新作「笹の葉ラプソディ」をYouTube角川チャンネルで見てみました。

1

上記のシーン、左下で「新潮社』とかすかに読めるような気がしたので、そこから類推して北村薫の時と人三部作のどれかかな、と調べたら、「スキップ」のハードカバーでした。

当然こんなこと、しっかりとアニメを観こなしている (?) 人々の間ではとっくに調べがついているのでしょうが、自力で分かったのがうれしかったので、ここにひっそりと書いておきます。

「別窓で開く」

初めてのタブブラウザとしてoperaを使い始めて早幾年。改善して欲しいと思い続けていること。

私はマウスのホイールクリックで、「リンクを別のタブにバックグラウンドで開く」設定をしています。リンクをクリックすると別のタブでリンク先を読み込むが、画面の前面にはこれまでのページが引き続きアクティブなものとして表示され続けるというものです。たとえば、アマゾンの商品一覧から気に入ったものを次々ホイールクリックで開き、後で詳細を比較検討する、などという使い方です。

ところが、このときにリンク先を JavaScript で制御している場合、意図したリンク先が開きません。

たとえば、JALのサイト。ホイールクリックで国際線に切り替えようとすると、

国際線を予約しようとして、ホイールクリックすると……

国際線を予約しようとして、ホイールクリックすると……

真っ白なウィンドウが開いてしまいます。元のページを閉じてしまっていた場合、目も当てられません。

真っ白……

真っ白……

これ、なんとかならないかとタブブラウザを使い始めて以来ずっと思っているんですが。今回の場合は JavaScript で見た目を変更するだけだからという理由も分かるのですが、リンクをサイト作成者の意図した大きさのウィンドウで開かせようとするために JavaScript で制御していたりする場合も、同様の状態になります。調べたところ、 Firefox 3 でも同様の状況でした。 Internet Exproler 7 は、ホイールクリックしても新しいタブが開かないようです。

これ、ウィジェットとかユーザー JavaScript とかでなんとかなるんでしょうか。

名探偵はもういない

先日読んだ「アイルランドの薔薇」に続いてクローズド・サークルもの。犯罪学者・木岬研吾は、雪の降る栃木県の山道に車を走らせる。同行する小学生の義弟に理由を告げることもなく。やがて、雪に道を閉ざされた二人は近くのペンションに宿を取るが、そこには奇妙で怪しげな人々が滞在していた。

霧舎巧による長編。中盤で謎となっているポイントが一通り整理された上で、「読者への挑戦」が差し挟まれる、親切な、正統派らしいミステリー。

以前「霧舎巧 傑作短編集」で見たような人間ドラマがやはり本作にも織り込まれていて、本筋となる事件のほかに「なぜ彼はあんな行動をとったのか」という点でも謎の解明が味わえます。「後動」という名前の人物が登場するなど、作家のファンには他の作品とのつながりを見つける楽しみもあります。

霧舎さんの作品はいつも探偵役過剰ですね。後半など、登場人物の過半数が謎の解明に当たる側に回っているのではないでしょうか。

しかし、巻末解説の石崎幸二。その昔、デビュー作と第二作を読んだときに、上滑りする文体に少し眉をひそめたことがあったのですが、今回の解説はちょっとなあ。口述した内容をそのまま書きとって読む文章にするための校正をしなかったかのような読みづらさ。解説の内容も「……」としか。

クーデルカ

18~19世紀イギリスが舞台。

謎の組織に追われる記憶をなくした女性・クーデルカとそれを助けた孤児・ヨシュアを中心としたサスペンス冒険活劇。

表紙見返しの作者からのメッセージ欄によると、これがデビュー作だったとのこと。メッセージを通読すると、創作者としてもっとクオリティを上げたかったという思いと、商業作品としての制約との狭間で悔しい思いをしているような様子がうかがえるように思いました。

確かに、最終巻では初期で触れたチョイ役にも決着をつけるなど、丁寧に整えた感があるのですが、いささか駆け足だったり、そもそも伏線としての利かせ方が弱かったりするところがありました。最後にきちんと畳んではいるものの、作者としてはもっと大風呂敷を広げたかったんだろうなあ、と思ったり。


と、ここまで書いてちょっと調べたら、本作はプレイステーション用ゲームの後日譚という位置づけの作品なんですね。風呂敷を広げたかったのじゃなくて、風呂敷の広げ方に制約があったことへの悔しさだったのか。

アイルランドの薔薇

以前に「扉は閉ざされたまま」を読んだ石持浅海の長編デビュー作。

とあるアイルランド湖畔の安宿で起きた殺人事件。被害者は北アイルランド武装勢力の幹部で、「後日衆人環視の状態で死んでもらうため」武装勢力にとっては今死なれては絶対に困る人物だった。
イギリス政府と武装勢力との和平が成立しそうなこの時期に、真相が解明されないまま安易に警察の介入を招いては、和平交渉に重大な影響を与えてしまう。宿泊客の日本人科学者・フジは他の宿泊客や残された武装勢力と協力して、宿に残された人間たちのみで犯人を捜し出そうとする、という筋書きの推理小説です。宿泊客の中には、後日自然死に見せかけて被害者を殺害するはずだった殺し屋『ブッシュミルズ』も紛れており、読者にとっては「誰が『ブッシュミルズ』なのか」も謎の一つとなります。

前回読んだ(発表順ではずっと後になりますが)「扉は閉ざされたまま」では、殺人が起こった現場のドアが、事件解決まで開くことなくストーリーが進行するというアクロバティックな展開が用いられました。今回は「警察を呼ぶと北アイルランドの政治情勢に重大な影響が及ぶので呼ぶことができない」という理由からクローズド・サークルが発生します。このほか、他の作品でも変わった理由によるクローズド・サークルが多数あるとのこと。光文社で結構文庫化されているようなので、書店を当たってみることにします。

内容では、怪しげなところには不自然な記述があったりと、真相を当てようとして楽しむタイプの人にはヒントが多く転がっているように思えます。私は、「この書き方は何となく怪しい」と思っても、結局それが何か最後までわからないまんまのものばかりでした。一方、あまりに全ての登場人物が理知的過ぎやしないかというのはちょっと気になるのですが、ミステリーとしては特別なものではないようにも思います。おもしろい本でした。

バカ二人

Kが飲み会に誘われたというので、会場まで車で送っていきました。

その飲み会はKのみならず自分とも共通の知り合いが集まっているので、到着して降りるころ、「ついでだから参加する?」と尋ねられました。

「しかし、そうしたら車が運転できないわけで。」
「大丈夫だよ、自分今日はお酒飲まない予定だから。」
「そうか、それなら安心。」

と会話したところで、気づきました。

「じゃあ、一人で車に乗ってきて、乗って帰ってくれば良かったじゃないか。」

なんとなく馬鹿らしくなったので、参加せずに帰りました。

この世界の片隅に 下

と読んできたこうの史代最新作の最終巻を、ついに読みました。

シリーズ全体としての詳しい解説は、今日たまたまSomething Orangeすべての漫画好きよ、『この世界の片隅に』を読むべし。を読んで感服したのでそちらへ。


私のようにマンガ読みが上手くない者にとって、こうの史代の読解は非常に骨が折れるものです。「長い道」でも、話の意図がわからずに、読み返すようなことが頻繁にありました。

本作の後半も、読むのに非常に時間がかかりました。これまで、ヒタヒタと次第に近づいてきた悲劇の足跡は、ついに下巻で主人公たちの身に迫り、ズカズカと彼女らの生活を蹂躙していきます。すでに上巻を手に取ったときから予想されていたこととはいえ、その運命は「当時はよくあったこと」と済ますことのできないものです。

そして、決定的な悲劇の後に訪れる日々を描くに当たって、作者は多様なテクニックを毎話に多用します。正直に言って、そのすべてが理解できたとはとても思えません。上・中からあわせて、数度精読しなければわからないことが多数あるはずです。さしあたって、上巻の表紙中巻の表紙と対比して、下巻の表紙で笑顔の絵が使われている点の意味は考えてみたいところです。

あとがきでは、ともすれば数字の大小で語られてしまいがちな戦争の悲劇について、その数字の一つ一つはどうだったのかに着目したいというような記述がありました。私もそうですが、あまりにも膨大な数字を目の前にしたときに、規模の大きさに圧倒されて、それが一つ一つの積み重ねであることを忘れてしまうことがあります。たとえ数字で物事を論じる必要があったとしても、それが単なる数字ではなく、一つ一つを積み重ねたものであることを常に意識しておくようにしたいと感じました。月並みな感想ですが、月並みな感想を素直に引き出してくれる力のある作品だったと思います。

もっと美味しくビールが飲みたい!

ジュンク堂にて、表紙が大橋ツヨシだったのだけを理由に購入。

サッポロビール部長の著者が、三井グループのグループ内広報誌「三友新聞」(そういう新聞があることを初めて知りました。サッポロビールが三井グループであることも。)に連載していたビールがらみのエッセイをまとめたもの、とのことで、ビールの美味しい注ぎ方から日本のビール略史、自社の募集する「ビール川柳」の紹介などで構成されます。

ビールのつぎ方は、巷間よく言われるようになった「三度つぎ」(サッポロビールでも紹介あり)や、グラスの選び方などの紹介で、目新しいところがあるわけではありませんでしたが、再確認の意味で。

ジュンク堂行ってきた

※このエントリは、当初5月3日付けで公開していましたが、実際には5月4日の出来事でしたので訂正します。

ジュンク堂に行ってきました。

時間の都合により、滞在時間は午後7時から閉店午後9時前までの2時間。とても全部は回りきれなかったのですが、駆け足で巡った記録だけ。

旧ダイエーの7階建てのビルのうち、1階から3階までがジュンク堂になっています。いつも池袋本店を巡るときと同様、とりあえずエスカレーターで3階に上がり、順次下に降りていくことにしました。ジュンク堂に限らず、大規模書店に行くこと自体が久々なので胸が高鳴ります。

3階は絵本・児童書・洋書・語学学習書・学習参考書・マンガ・ライトノベル等。英単語の学習ができる本をちょっと探していたので、いろいろ見て回って、改訂されたばかりというZ会の速読英単語基礎編をかごへ。児童書では、いろいろそろっているのでジュニア向け「源氏物語」の「若紫」のあのくだりをそれぞれがどう書いているか比べるという、悪趣味なことをしてみたり。講談社版瀬戸内寂聴訳のものが、もっとも生々しいように思えました。^^;)マンガは、シュリンクされていないものが大多数。ただ、今日実際に買った「まつのべっ!」などはシュリンクされていたので、もしかしたらこれから順次シュリンクされていくのかも。

3階だけで1時間使ってしまったので、あとはちょっと駆け足。2階は理工・コンピュータ・人文・社会科学といった専門書と各種趣味の本。自分の詳しい分野のものを見るかぎり、基本書が抑えられていて、初学者に便利な感じ。一方、専門家には最新の本がフォローされているかどうかが気になるところなのでしょうが、私は最新にどんな良い本があるか知らないので、これはわからず。趣味の本では、ニコリの本誌およびペンパ本が大量に入荷されていることを確認。おそらく、本県初の出張馬房になるのではないでしょうか。とりあえず、久しぶりに本誌購入。あと、地元関係の本はすべてここへ。ほかと違って、胸元くらいの高さの低めの棚で、フェアーっぽくディスプレイされていました。

1階は文庫・新書・文芸・雑誌。この時点で残り15分になってしまったので、新書は完全にパスして文庫のみ。創元推理文庫が、クリーム色表紙だけで棚2本ほど占拠していて圧巻。とりあえず平積みと新刊だけチェックして、タイムオーバー。あ、ノベルズはレーベルごとではなく、一緒くたに作家順に並んでいました。たしか、池袋もそうだったはず。意外に棚が小さくて拍子抜け。

レジは各階にあるのですが、どのフロアの物も一括で精算でき、かつ1階のものが一番規模が大きかったので1階へ。レジの店員さんは、大部分がよそからの応援のようでした。そりゃそうでしょうね。

とりあえず2時間ではこんなものか。連休中に、再度じっくり見に行けたらいいなと思っています。

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