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こうの史代

この世界の片隅に 下

と読んできたこうの史代最新作の最終巻を、ついに読みました。

シリーズ全体としての詳しい解説は、今日たまたまSomething Orangeすべての漫画好きよ、『この世界の片隅に』を読むべし。を読んで感服したのでそちらへ。


私のようにマンガ読みが上手くない者にとって、こうの史代の読解は非常に骨が折れるものです。「長い道」でも、話の意図がわからずに、読み返すようなことが頻繁にありました。

本作の後半も、読むのに非常に時間がかかりました。これまで、ヒタヒタと次第に近づいてきた悲劇の足跡は、ついに下巻で主人公たちの身に迫り、ズカズカと彼女らの生活を蹂躙していきます。すでに上巻を手に取ったときから予想されていたこととはいえ、その運命は「当時はよくあったこと」と済ますことのできないものです。

そして、決定的な悲劇の後に訪れる日々を描くに当たって、作者は多様なテクニックを毎話に多用します。正直に言って、そのすべてが理解できたとはとても思えません。上・中からあわせて、数度精読しなければわからないことが多数あるはずです。さしあたって、上巻の表紙中巻の表紙と対比して、下巻の表紙で笑顔の絵が使われている点の意味は考えてみたいところです。

あとがきでは、ともすれば数字の大小で語られてしまいがちな戦争の悲劇について、その数字の一つ一つはどうだったのかに着目したいというような記述がありました。私もそうですが、あまりにも膨大な数字を目の前にしたときに、規模の大きさに圧倒されて、それが一つ一つの積み重ねであることを忘れてしまうことがあります。たとえ数字で物事を論じる必要があったとしても、それが単なる数字ではなく、一つ一つを積み重ねたものであることを常に意識しておくようにしたいと感じました。月並みな感想ですが、月並みな感想を素直に引き出してくれる力のある作品だったと思います。

この世界の片隅に

昭和20年4月まで。どうしようもなく迫り来る足音。

奥付の「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」の「今のうちに」が心に染みます。最初、自分もKも「初版のうちに」だと思ってしまいましたが、ここで意味するものは明らかに 「あなたが生きているうちに」です。

この世界の片隅に 上

昭和18年から19年という、原理的に下巻に何かしらの悲劇を生まざるを得ない時代設定に、どうしてもドキドキする。

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