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石持浅海
石持浅海 Rのつく月には気をつけよう ほか
- 2010-09-20 (月)
- books
近くの大規模書店に気軽に寄れるようになったおかげもあって、4月以来本を結構たくさん買うようになりました。特に多く買ったのが石持浅海。文庫で出たのはすべて買ったと思います。
これは、3月のうちに買っていたのですが、引越しのどさくさで読まないままずるずると今月まできてしまいました。その間、Kが先に読んでいたり。この間、病院に行く機会があったときに持って行ったら、待合時間の間に読み終えてしまいました。
いつもながら、事件が起こった直後の冷静な登場人物たちには違和感がありますが、そういう人たちが集まっている、と考えるべきなのでしょう。
推理小説によくある、最初の意味ありげなシーン、いつも読んでるうちに忘れてしまって、大事なときに思い出せないのですが、今回はきちんと気づけたと思います。
山口雅也の「日本殺人事件」のような、少し変わった日本を舞台にした短編小説集。表題作の人柱をはじめ、お歯黒などの日本の風習が今なお残る日本を舞台に、その風習そのものを軸にした謎解き、という舞台設定。ルールを設定して、そのルールの中で謎解きをするあたりも、同じく山口雅也の「生ける屍の死」などを思い出しました。エピローグが秀逸です。
この2作も、先に挙げた「人柱は-」同様、私たちの世界と異なるルールを設定した上での謎解きです。特に、「ガーディアン」の後半は、ルールを生かしたコン・ゲーム仕立てで、コン・ゲームが好きな私としては大いに楽しかったものの、あまりに冷徹にルールを利用する主人公の姿は少し恐ろしくすら感じました。
「月の扉」と関連がある短編集なのですが、月の扉自体は少しだけ読んでまだ読み終えてません。那覇空港を舞台にしたハイジャックという、あまりに近くにある舞台設定が気になりすぎているのだと思います。本作自体はほぼ東京ですべてが完結するのでそういった問題はなく読むことができました。
酒を飲みながら日常の謎を解決する短編集。肴がどれもうまそうで、1作目に登場した生ガキを見て以来、自分も早く食べたいと日々スーパーをうろついています(まだありつけていない)。
他の作者の短編集と同様、一番最後にちょっとした仕掛けがあって、少しのけぞってしまいました。再読しなくては。
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BG、あるいは死せるカイニス
- 2009-11-15 (日)
- books
死者がよみがえってしまうという設定を舞台にした山口雅也「生ける屍の死」のように、現実世界と異なるルールの下で書かれたミステリ、というのが昔から存在するわけですが、本作もそのような設定が用いられています。この世界の人類は、すべて女性として生まれ、青年期に回りより優れた個体が男性に変化して子孫を残す、という生態を持っています。
そのような世界で、進学校に通う主人公の異母姉[01]が学校で殺害される。被害者は、優秀で周囲から将来の男性かを確実視されていた……という導入の本作では、殺人の謎と、この世界の性というもののあり方を巡る謎とが絡まり合って展開していきます。このような設定の世界では、社会はどうなるのか、といった思考実験も含んだ内容となっていて、これまで読んだことがある石持浅海作品とは毛色の違う部分に大いに驚きました。
- 姉の母はその後男性化して主人公の父となったので、正確にこの状況を表す語は我々の世界には存在しなさそうです [_]
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セリヌンティウスの舟
- 2009-11-09 (月)
- books
これまで私が読んできた中では「そして扉が閉ざされた」や「フラグメント」、「扉は閉ざされたまま」と同じようなタイプ。「扉は閉ざされたまま」も石持浅海作品で、しかも同年の発表だそうです。
上記の作品たちが、登場人物たちの相互不信を軸に物語を進めていたのに対し、登場人物たちに確固たる信頼関係が築かれている、というのが本作の特徴になるのだと思います。その物語設定にも、話の展開にも納得できました。
ただ、最後の2ページの登場人物の行動だけは理解できません。直前まで議論していた内容によれば、その行動は取れないのでは……
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アイルランドの薔薇
- 2009-05-17 (日)
- books
以前に「扉は閉ざされたまま」を読んだ石持浅海の長編デビュー作。
とあるアイルランド湖畔の安宿で起きた殺人事件。被害者は北アイルランド武装勢力の幹部で、「後日衆人環視の状態で死んでもらうため」武装勢力にとっては今死なれては絶対に困る人物だった。
イギリス政府と武装勢力との和平が成立しそうなこの時期に、真相が解明されないまま安易に警察の介入を招いては、和平交渉に重大な影響を与えてしまう。宿泊客の日本人科学者・フジは他の宿泊客や残された武装勢力と協力して、宿に残された人間たちのみで犯人を捜し出そうとする、という筋書きの推理小説です。宿泊客の中には、後日自然死に見せかけて被害者を殺害するはずだった殺し屋『ブッシュミルズ』も紛れており、読者にとっては「誰が『ブッシュミルズ』なのか」も謎の一つとなります。
前回読んだ(発表順ではずっと後になりますが)「扉は閉ざされたまま」では、殺人が起こった現場のドアが、事件解決まで開くことなくストーリーが進行するというアクロバティックな展開が用いられました。今回は「警察を呼ぶと北アイルランドの政治情勢に重大な影響が及ぶので呼ぶことができない」という理由からクローズド・サークルが発生します。このほか、他の作品でも変わった理由によるクローズド・サークルが多数あるとのこと。光文社で結構文庫化されているようなので、書店を当たってみることにします。
内容では、怪しげなところには不自然な記述があったりと、真相を当てようとして楽しむタイプの人にはヒントが多く転がっているように思えます。私は、「この書き方は何となく怪しい」と思っても、結局それが何か最後までわからないまんまのものばかりでした。一方、あまりに全ての登場人物が理知的過ぎやしないかというのはちょっと気になるのですが、ミステリーとしては特別なものではないようにも思います。おもしろい本でした。
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