「電脳やおい少女(2)」中島沙帆子

[amazon_link asins=’B00I36DMSU’ template=’ProductAd’ store=’jtcy-22′ marketplace=’JP’ link_id=’c1f8c530-b1d0-11e8-8ab5-ed91fb088d3c’]前にこの日記で書いたことと重複してしまうかもしれませんが、四コママンガの書き手は、少ないページ数でその舞台設定を読者に了解させ、その上で笑いなり感動なりを表現しようとしなくてはいけません。そのため、いきおいその舞台設定は読者に了解されやすいもの、つまり日常のありふれた世界を舞台として設定することが多くなります。さらに、必ず毎号買う読者が少ない、という四コママンガ専門誌の特性から、その舞台設定を毎回のように繰り返し説明する必要が生じてきます。多くのマンガが同じストーリーを前に進めていったり、新しい笑いのスタイルに挑戦していく時に、同じようなネタをおりまぜながら少しずつ螺旋を描くように進んで行くのには、そういった事情があるのだと思います。

しかし、この作品はそのような舞台を使おうとせず、(他の作品の際だった「日常性」と比べれば)特殊なフィールドの作品を書くことで成功しています(4コマ専門誌のマンガで単行本の2巻が出る、というのはなかなかの成功だと思います)。

この意味をとらえ方は二つあると思います。一つは各回の先頭に毎回必ず「やおい」の説明がある点などから、作者が読者に対して非常に心をくだいた、という見方です。しかし、別の見方をするのなら、もはや「やおい」をステロタイプとする「おたく」の世界が、決して非日常的なものではなく、多くの「ありがち」の中の一つになってしまっている、という主張もできると思います。おそらく、どちらもある程度には正しいのでしょう。

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