儚い羊たちの祝宴

  •  「儚い羊たちの祝宴」米澤穂信

[amazon_link asins=’B00PA6KNII’ template=’ProductAd’ store=’jtcy-22′ marketplace=’JP’ link_id=’99634607-a230-11e8-b188-59e9bf3579e3′]ちょっと出遅れましたが、発売当初から購入する気でいました。

  • 「身内に不幸がありまして」
  • 「北の館の罪人」
  • 「山荘秘聞」
  • 「玉野五十鈴の誉れ」
  • 「儚い羊たちの祝宴」

の5作品からなる、著者が「バベルの会」シリーズと銘打つ短編集です。帯のアオり等によると、「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。」とのことで、宣伝に違わず、各短編ともラスト一行が味を出す、期待に違わぬよい本でした。

5作とも、北村薫のベッキーさんシリーズみたいな、いわゆる「良家」を舞台とします。そして、必ず良家の女子とその使用人(的立場の人物)が登場します。舞台設定は戦前くらいが似つかわしいように見えますが、作者の作品にはインシテミルの須和名や古典部シリーズの千反田えるが登場していますから、現代の話であっても問題ないかもしれません。

シリーズ名に登場する「バベルの会」は、大学の読書サークルだそうですが、その中身は本作中にほとんど登場しません。ただ、いずれの作品にもバベルの会の話が登場し、特に夏に行われるという蓼沼という別荘地での読書会は、語り手が皆その開催を前に胸躍らされるか、後にその様子を回想するかの形で書かれ、決してその当日の様子が直接に描写されることはありません。まるで、三谷幸喜の作品に登場する「赤い洗面器の男」のようなマクガフィンであるかのようです。そういえば、「山荘秘聞」には、語り手が「牛の首」の怪談をして大いに盛り上がったという記述があります。リンク先を見れば分かりますが、牛の首というのは誰もその筋を知らないが、とても怖い話と言うことだけが伝わっている怪談であり、マクガフィン的であると言えるかもしれません。

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