小説入門のための高校入試国語

  •  「小説入門のための高校入試国語」石原千秋

[amazon_link asins=’4140019409′ template=’ProductAd’ store=’jtcy-22′ marketplace=’JP’ link_id=’728922df-a230-11e8-b9e6-3b2fef88c712′]石原千秋さんは、成城大学教授のころに子の中学入試に触れたことがきっかけで「受験の国語」についての考察を深め、「秘伝 中学入試国語読解法」で耳目を集め、その後も「教養としての大学受験国語」などの著作を通じて、国語の教科書・入学試験について考察し続けてきた方です。私は「秘伝 ~」を出版当時に読んでいたほか、2005年に「国語教科書の思想」を読んで、「国語では道徳が問われている」という著者の主張に触れ、それまで思いもよらなかったにもかかわらず、さもありなんと納得した経験があります。本書はそのころ勢いで買ったのですが、続かなくてずっと放っておいたものです。

零章・序章で著者の基本的なスタンスを唱え、以降の章で実際に出題された入試問題を21題解いていく構成です。

私は、現代文が大の苦手でした。

漢文はルールさえ分かれば書き下し文はそう難しい文章ではないし、そもそもその時期にはありがちなことに当時の私は三国志やら何やらにハマっていたので、そこで取り扱う事柄自体への興味がありました。古文は、私はなかなか解けませんし、なじめませんでしたが、ある種の素養がある人たちには解けるものだというのは知っていました。「ある種の素養」というのは、多く文章を読むことで身につくものだということは、受験が終わったずっと後になって気づきました。そういうわけで漢文や古文は自分なりに納得がいっていたのですが、現代文という分野の奇妙さはずっとぬぐえませんでした。特に、記述問題は大嫌いでした。

高校時代のあるとき、一念発起して現代文について学習してみようということで、国語の授業で一番前の席に座り、熱心に質問してみました。先生が示してくれた解釈のそれぞれについて「なぜそういう解釈になるのか」と質問を繰り返したのですが、「そのように解釈できるという筋道」は分かりましたが、「なぜそのように解釈しなければならないか」という点は、分からずじまいでした。私には、先生が示してくれるものとは別の解釈が、同じテキストを舞台として広がっているように思えました。それがなぜいけなかったのか、石原さんの「国語=道徳」の考え方なら、分かるような気がします。

おそらく、この本を読んで独習できる中学生はほとんどいないでしょう。教師や塾講師の助けがあったとしても、あるいは難しいかもしれません。それでも、このような考え方を本気で中学生に説く本があることは、ルールを隠されたまま「国語」に立ち向かわなければならない中学生にとって、あるいは助けになることだと思います。

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