Web日記にタイトルなんてなかった

そういえば、ブログを書かなくなったのは、毎日タイトルを考えるのが面倒になったからかもしれない。

このブログは元々は独自の日記用perlスクリプトを使って書かれており、そのうちブログにあるような機能をちょこちょこ改造して付け加えて行っていたが、トラックバックを実装しようという辺りで嫌になってwordpressに移行したのだった。で、無理やりデータを移行させるときに困ったのが、wordpressにせよMovableTypeにせよ、一つ一つの記事には何らかのタイトルがないといけないのだ。しょうがないので「○年○月○日」というタイトルを機械的につけてなんとかした。

思えば前世紀末から今世紀初めといった昔むかし、日常のたわいもないことを書くのは誰かの個人サイトのおまけコンテンツの1つで、みんなHTML手打ちでその日あったちょっと面白いことをFTPでアップロードし、旧い内容はしばらくしたら消えてしまうか、思い立ったところで別ページに改めたりしていたのだった。そこから、「しょっちゅう更新するなら、自分だけが書き込める掲示板を作った方がいいんじゃないか?」と思い立つ人が現れ、日記スクリプトがKENT WEBやCGI RESCUEで配布されはじめ、tDiaryで一つの栄華を極めたところでブログに一斉に駆逐された、とわたしは理解している。

いわゆるブログが席巻したのにはそれなりの理由があるし、現に最新版のWordpressでGutenbergなるエディタを使って記事を書いていることに何の不満もないのだけれど、そんなことを唐突に思ったのは、デイリーポータルZのライター・編集部の古賀及子さんが、最近連日のようにそういう派手さはないけど滋味にあふれた「日記」を書いてくれていて、読んでいて楽しいから。この日なんて特にいい。

そういえば、昔は日記はおまけコンテンツだったから、独立した名前なんてなかった。「○○さんの日記の昨日の分にこんなことが書いてあった」だった。ブログに名前を付けるようになったのは、アメーバブログが発祥、というか日本に定着させた、とわたしは思っている。

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