WAONカードという、電子マネーカードをどうやら紛失したらしい。いつも入れていた財布、財布を入れていたカバン、その他家の中の心当たりを調べたが出てこない。入っていた金額は数百円だったのだが、オートチャージという、しかるべきところで買い物しようとしたときに金額不足だと自動的に所定のクレジットカードからカードに入金する機能が付いているため、拾った人に使われると無尽蔵にお金が出て行ってしまう。仕方がないので早々にあきらめて、発行元に電話してカードの利用を中止し、代わりのカードを発行してもらう。これまでの生涯で財布を失くしたことが2回、小さな忘れ物落とし物失くし物については数知れないため、こういうときの切り替えと行動だけは早い。幸いなことに自分が使った記憶のある後にカードが使われた形跡はないらしく、あっという間に、前のカードは使えなくなり、新しいカードの到着を待つばかりとなった。Edyは残高が戻ってこないが、WAONは手続き時に残っている残高が戻ってくる。一安心。
一息ついたところで、いつもの忘れ物落とし物失くし物をしたときの、「最後にそれを見たのはいつか記憶」が強烈にプレイバックされてきた。家の、あのフックにかけてある、週末の外出に使ったカバン、あのカバンの、普段使わない外ポッケ、あそこにあるんじゃないかという気持ちが急速に高まってくる。あー、絶対あそこだー。でも再発行したから見つけても何の意味もないー。再発行手数料500円損したなー。と思いながら帰宅し、真っ先にその週末の外出に使ったカバンの普段使わない外ポッケに手を突っ込んでみる。
何も無かった。さっきのプレイバックされた記憶自体がニセモノだった。そういや、最後にカードを使ったのは日曜日で、このカバンを持って出たのは火曜日だ。何だったんだ、あの記憶。
仕事で外を長く歩くことになった。普段は大きめのビジネスバッグに色々詰め込んで、1泊出張くらいまでならなんとかしている。が、何せ重いので外歩きには向かない。小さい肩掛けのポーチのような物を家族が持っているので借りて、これに詰めるだけ詰めて持っていこう、と、ケータイやiPadやモバイルバッテリーや財布や傘や手帳や筆記具や、外だから寒くならないようにと薄手の上着まで入れたところで、入りきってしまった。あと、普段持ち歩いているのは、急な出張用の充電器と歯ブラシ、あと預金通帳くらいだ。カバンの重さ自体が1キロ以上違うので、ほぼ同じ量を持っていても軽さが違う上にかさばらない。普段持ち歩いているのは何だったのか。
ケータイが代替機で、電子マネーが使えず、カバンが違うと、なんだか生活がギクシャクして、自分の体が自分の体じゃないような気がしてきた、というと大げさだが、電話の着信音が違うのでかかってきたことに気づかない、くらいの話である。