「密室殺人ゲーム王手飛車取り」歌野晶午

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矢野龍王くさいタイトルに裏表紙のアオりで、読前は不安になりましたが、読み始めてからは加速度がつく一方で、ほどほどで明日にする予定だったのを一気に読み終えてしまいました。読了直後の勢いで書いています。

「ネット上で素顔を隠してビデオチャットを行なう5人。話題は自らが考えた「推理ゲーム」を発表しあうというものだが、その「推理ゲーム」は全て実行に移されたものだった」というのがこの話の本筋ですが、最近の歌野氏の路線がしっかり継承されていて、大きなどんでん返しが待ち受けていました。

後から考えると、タイトルの付け方といい、しょっぱなの大量殺人といい、終盤に向けての伏線だということが分かります。歌野氏の場合、ひとつの大どんでん返しのために、かなりの大技を毎回繰り出してくる(たとえば『葉桜』の大仕掛けといわれているものは、あの事件のトリックを不自然にしないための囮だと私は考えています)のですが、今回もそれが強烈に決まっています。

とは言いつつ、その大どんでん返しは、実は頭の隅で「あり得るもの」と考えながら読んでいたので、284ページでピンと来てしまったのです。しかし、この大どんでん返しをも、最後の「王手飛車取り」の状況への流れを自然なものにするためのいわば捨て駒であったと、私は思います。『葉桜』『ジェシカ』『女王様』同様の読後感が今回も楽しめました。

あと、「(以下略)」などの表現に見る『ヴードゥー』や『女王様』など過去作の反映とか、語りたくなる要素はいくらかあるのですが、とにかく『放浪探偵と七つの殺人』以来の講談社ノベルズとして、期待に違わぬものでした。

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